第二回「方法主義第一宣言解説」

2005年3月6日(日)13時30分より
区民センター社会教育館 第2研修室にて

講師:中ザワヒデキ

2000年1月1日に美術家中ザワヒデキの起草、詩人松井茂と音楽家足立智美の起草立会により、「方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義第一宣言)」が発表された。方法主義者たちによる方法主義者グループとしての活動は、その後、足立智美の離脱、作曲家三輪眞弘の参入、「方法マシン」設立等の局面を経つつ、2004年12月31日に終了した。この講座では、上記活動の基幹を成す本宣言について解説する。

今回の講師は「方法主義第一宣言」の起草者である、美術家の中ザワヒデキ氏です。まず、2000年元旦に発表された方法主義宣言以前とそれ以後の中ザワ氏の活動実例が紹介されました。次に方法主義宣言の詳細な解説があり、最後に質疑応答を行いました。途中には方法マシンメンバーによって「五十音ポリフォニー」の演奏も急遽行われました。

CGイラストレータとして活躍していた中ザワ氏は、1997年に美術家として絵画作品を発表しはじめました。その絵画作品とは文字や碁石を画素としたものでした。絵画を色彩平面として定義し、さらに文字や碁石を色彩として用いることが可能であることを示した作品でしたが、この時、文字を用いている氏の作品群を、「詩」や「タイポグラフィ」というジャンルとして見なし、絵画作品として見なさない反応がありました。この状況を打破するものとして、方法主義は構想されました。

方法主義第一宣言は、絵画、詩、音楽を同列に並べて定義することに力点が置かれ、諸芸術の定義の明確化を意図しています。一般には、絵画、詩、音楽のそれぞれの形式はその素材(色彩、文字、音響)に基づくとされていますが、方法主義では諸芸術が素材ではなく「方法」に基づきます。つまり素材は交換可能となります。方法主義で考えれば、液体の調合であるカクテルは、絵画にも、詩にも、音楽にもなります。このようにして「方法」を名乗る異ジャンルの芸術家によって「方法カクテル」や「方法ばばぬき」などが共作されました。

歴史を通じて価値観が多様化し、ついに「何でもあり」の状態に至った芸術の現在、ひいては現代社会に対して、方法主義は「芸術のための芸術」のバージョンアップを図っている、と言うことができるかもしれません。無意味を甘受する快楽主義には至らず、無意味を同語反復の論理として取り出し、権威化するのです。

宣言そのものの文体は大変厳格ですが、中ザワ氏の詳細で興味深い方法主義解説によって、受講者の理解も深まり質問が相次ぎました。講座は予定時間を超過する程に充実したものとなりました。




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